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梵鐘の基礎

梵鐘とは

寺院の鐘楼に吊るされ、撞木で撞き鳴らされる鐘。
その姿と音の成り立ちを、関東唯一の梵鐘製造元としての実績にもとづいてご紹介します。

梵鐘とは何か

梵鐘(ぼんしょう)は、寺院の鐘楼に吊るされる青銅製の大きな鐘です。時を告げ、法要のはじまりを知らせ、大晦日には除夜の鐘として撞かれます。

鳴らし方には、西洋の鐘との大きな違いがあります。西洋の鐘が内部に舌を吊るし、鐘そのものを揺らして鳴らすのに対し、梵鐘は動きません。撞木(しゅもく)と呼ばれる木の棒を吊るし、鐘の外側にある撞座を撞いて鳴らします。低く長く尾を引く余韻は、この構造から生まれます。

各部の名称

梵鐘の各部には、古くからの呼び名があります。ご相談の際にもよく出てくる言葉です。

工房に並ぶ仕上げを終えた梵鐘。頂の竜頭、上部に整然と並ぶ乳、縦帯と横帯に区切られた池の間に天女の浮彫と銘文、その下に蓮華文の撞座が見える
仕上げを終え、工房に並ぶ梵鐘。竜頭・乳・池の間の意匠・撞座の位置関係がわかる
竜頭りゅうず
鐘の頂にある吊り手。龍の姿をかたどり、ここで鐘楼の梁から吊るされます。
笠形かさがた
竜頭の下に広がる、鐘の肩にあたるゆるやかな曲面。
鐘の上部に整然と並ぶ小さな突起。これが並ぶ区画を乳の間と呼びます。
上帯・下帯じょうたい・かたい
鐘身を横に巡る帯。鐘の面を上下に区切ります。
縦帯たておび
鐘身を縦に走る帯。横の帯と交わり、鐘の面を格子状に分けます。
池の間いけのま
帯に囲まれた広い面。寺院名や建立の由来を刻む銘文が入り、天女像などの装飾が配されるのもこの面です。
草の間くさのま
池の間の下、鐘の口までのあいだにある区画。
撞座つきざ
撞木が当たる円い座。蓮の花の文様が刻まれることが多い場所です。
駒の爪こまのつめ
鐘の口にあたる縁。わずかに外へ張り出しています。

池の間に施す天女像などの意匠については、梵鐘の装飾のページでご覧いただけます。

大きさと重さの目安

梵鐘の大きさは、鐘の口の直径である「口径」で表し、尺貫法で呼びならわします。1尺はおよそ30センチです。以下は、小田部鋳造がこれまでに納めてきた梵鐘の実績にもとづく分布です。

口径およその寸法実績
2尺3寸 〜 2尺5寸約70 〜 76センチ納入実績のうち7件
2尺6寸約79センチ納入実績のうち17件
2尺8寸約85センチ納入実績のうち20件(最多)
3尺約91センチ納入実績のうち15件。重さおよそ1トン
3尺2寸 〜 3尺5寸約97 〜 106センチ納入実績のうち11件

最も多いのは2尺6寸から3尺のあいだで、実績のおよそ7割がこの範囲に収まります。重さは口径3尺でおよそ1トン、口径3尺2寸で約1200キロを納めた例があります。同じ口径でも鐘の厚みによって重さは変わります。

一つひとつの寺院名・年代・口径は、梵鐘の納入実績でご覧いただけます。半鐘は口径1尺前後、半鐘の納入実績にまとめています。

音は何で決まるのか

梵鐘は銅と錫の合金である青銅で鋳ます。音の高さをおもに決めるのは、口径と鐘の厚みです。大きく厚いほど低く、小さく薄いほど高くなります。

ここに、梵鐘づくりの難しさがあります。鋳上がったあとに音を調えることはできません。型を起こす段階で、仕上がりの響きを見通しておくよりほかにないのです。思い描いた音への、一度きりの勝負になります。

つくり方

01

型起こし

筑波山系の良質な砂と粘土を練り込み、数ヶ月かけて鐘肌の原型を築き上げます。手の感触と経験を頼りに形を整える、音の行方を決める工程です。

02

鋳込み

1200度に熔けた青銅が湯道(ゆみち)を走り、型の隅々まで行き渡ります。ひと息に注ぎ込む、やり直しのきかない瞬間です。

03

仕上げ

型から出した鐘を、職人の手で研磨して仕上げます。着色で覆わないぶん、地肌のごまかしは利きません。

04

納品・奉納

寺社へ据え付け、初撞きを迎えます。その音が長く響きはじめる日です。

化粧なしの梵鐘

小田部鋳造の梵鐘は、着色を一切行いません。青銅そのものの地肌のまま納め、年月をかけて現れる自然な緑青に委ねます。私たちがこれを「化粧なしの梵鐘」と呼ぶのは、塗って覆わないぶん、鋳肌のごまかしが利かないからです。

鋳造に欠かせないのは砂と粘土です。筑波山麓のこの地に居を定めたのも、その二つがあったからでした。

半鐘について

梵鐘より小ぶりな鐘を半鐘といいます。寺院の堂内や鐘楼のほか、火の見櫓にも吊るされ、合図や警鐘として打ち鳴らされてきました。小田部鋳造では、寺院に納める半鐘とあわせて、自治体の防災用の半鐘も手がけています。

特級品半鐘

口径1尺 〜 1尺3寸(約30 〜 39センチ)

1寸刻みで4つの大きさがあります。

古代型半鐘

口径30センチ・高さ51センチ・約22キロ

日本最古の半鐘をもとにした、小田部鋳造オリジナルの型です。

防災半鐘(簡略型)

口径30センチ・高さ45センチ・約20キロ

材質は通常の半鐘と同じまま、形を簡略にして値を抑えた型です。

茨城県かすみがうら市の東福寺様には口径1尺3寸を、土浦市の妙向寺様には口径1尺2寸(36センチ・高さ66センチ・約35キロ)を納めました。妙向寺様の半鐘は、東日本大震災でそれまでの古い半鐘が落ちてしまったことから、新たに設けられたものです。

これまでに納めた半鐘は、半鐘の納入実績でご覧いただけます。

よくあるご質問

梵鐘はどのように鳴らすのですか。

撞木(しゅもく)と呼ばれる木の棒を吊るし、鐘の外側にある撞座(つきざ)を撞いて鳴らします。西洋の鐘のように内部に舌を吊るして揺らす構造ではありません。

梵鐘の大きさはどれくらいですか。

小田部鋳造がこれまでに納めた梵鐘は、口径2尺3寸から3尺5寸(およそ70センチから106センチ)の範囲です。なかでも2尺6寸から3尺(およそ79センチから91センチ)が多く、実績のおよそ7割を占めています。

梵鐘の重さはどれくらいですか。

口径3尺の梵鐘で約1トンです。口径3尺2寸で約1200キロを納めた実績もあります。重さは口径のほか、鐘の厚みによっても変わります。

梵鐘に色は塗るのですか。

小田部鋳造では着色を一切行いません。青銅そのものの地肌のまま仕上げ、年月とともに現れる自然な緑青(ろくしょう)に委ねています。これを「化粧なしの梵鐘」と呼んでいます。

音の高さは何で決まるのですか。

おもに口径と厚みで決まります。鋳上がったあとに音を調える(調音する)ことはできないため、型を起こす段階で仕上がりの響きを見通しておく必要があります。

半鐘と梵鐘はどう違うのですか。

大きさと、据える場所が違います。半鐘は梵鐘より小ぶりで、小田部鋳造の実績では口径1尺前後(およそ30から39センチ)です。寺院の堂内や鐘楼のほか、火の見櫓にも吊るされ、合図や警鐘として打ち鳴らされてきました。

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梵鐘・半鐘・天水鉢の鋳造について承ります。
現地調査や奉納式の立会いもいたします。

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